顎と舌


 20年近くも前の自分の声を聴いた。

 
 1年生と喋っている声だ。一応、授業の声を録音したようだが、何のために録ったのかよくわからない。研究のため等ではなく、ただ録ってみたようだ。

 今や二十歳を越した当時の一年生たちの声はとても可愛らしくて可笑しい。そして懐かしい。
 聴いた日の夜は、寝る時に彼らの声が自然とよみがえって、しばらく脳内再生していた。
 声が録音されたカセットテープは実家に眠っており、他のものを録音しようと思って持ってきたのだが、それは中止となり、シールに”1年生保存版”と書いて貼りつけた。

 しかしそのテープには自分の声も入っているわけで、嫌でも聴くことになった。
 まだ若かった自分の喋り方は、かなりつっけんどんに聞こえた。
 そしてよく聴くと、舌足らずだ。
 現在の自分は、なめらかに舌が回らないのは明らかだ。これは人前で喋ることがなくなってから、頭を使わなくなってからだと思っていたが、そうでもなかったらしい。
 舌足らずになった原因を考えていて一つ思い当ったことがある。
 顎が出てきたことだ。
 子どもの頃、わたしの下あごは前に出ていなかった。正常位置に収まっていた。しかし、今や顎関節症と診断されるように、顎がずれている。「イー」と言うように歯をむき出すと、下の歯が前に出ている。ものまね芸人のコロッケが岩崎宏美のまねをする時のあの顎の軽度のやつである。
 この下顎のずれによって、舌足らずが引き起こされたのではないかというのがワタクシの考えなのです。

 ずれはいつ頃から始まったのか。
 それがどうも高校の頃ではないかということが、これも実家に保存されていた卒業写真によって判明した。

 
 いずれ実家には弟家族が住むようになる予定なので、徐々に自分の部屋や残してあるものを整理していかないとと思っている。
 帰省の度に少しづつやっている。
 金目のものは何も出てこないが、忘れていた、あるいは新発見の自分に関するものが、まだまだ見つかるかもしれない。


 
 

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isoginchaku

Author:isoginchaku
名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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