ごちそう

 3連休に帰省する。

 「こんど帰ってきたときに、うなぎ食べに連れてってほしい。それが伯母さんとわたしのリクエストだで」
 事前に母からの電話。伯母さんとは母の姉で、つまりババ二人は鰻が食べたい。

 一昨年の年末に突然の眩暈に襲われ入院した母は、i未だ、車窓の景色が流れるのも、時々目が回るようになるらしい。伯母さんも確実に年寄りであるので、なるべく近場がよい。そして、「うなぎの後にソフトクリームね。」ソフトクリーム好きの伯母さんの毎回のリクエスト。
 帰省の前にネット検索で調べをつけて、静岡の愛知県寄り、舞阪というところの鰻屋に赴いた。


 ネットで見たところでは大変人気の様子だったが、正月明けだからなのか、天気が良い3連休で皆さま行楽地などにお出かけなのか、店の大きさに対して客数はかなり少なくがらんとしていた。混んでなかったのは良いことだったが。

 結構大きな店ということから、実の所私自身はあまり高い期待は抱いていなかった。出資者でもあるババ二人の気が済むくらいの料理が出てくればいいと思っていた。そして全く、気の済むほどに美味しかった。とにかく「鰻食べたい」というババ達の合格ラインはクリアできたようだった。畳敷きのテーブル席も綺麗だった。接客係の少し疲れたような顔の中年女性がややぶっきらぼうに感じたが、それは、”ひと”が気になる私だけが感じていたことだろう。

 ババ二人は「女性に人気”ひつまぶし膳”」を、私はシンプルな「うな重(肝吸い付)」にした。ひつまぶし膳には茶碗蒸しも付いていて、けっこうな量に見えたが、二人は私よりも早くに食べ終えた。

 鰻屋から車で10分も行かない所に次の目的地のケーキ屋があった。
 「うなぎ結構な量あったけどすぐにソフトクリーム食べられる?」と訊くと、「食べれるたべれる。甘いものは食後すぐに食べた方がいいから、糖尿の人にもね」母は糖尿なのだ。
 ほったて小屋にそれらしくペンキを塗ったような小さなケーキ屋さんのソフトクリーム(引佐牛乳使用 250円)は、大正解の美味しさだった。ミルクの香りと味がしっかりして且つあっさり。口元がひらひらと広がった形のぱさぱさウエハースコーンにもられたソフトはうず巻きも美しく、コーンの底まで正しく詰まっておった。ショーケースに並んでいた6種類ほどのケーキは、かなり素人っぽい見た目だったが、それからすると意外と言っても良い美味しさだった。

 帰り道、違うケーキ屋に寄り、伯母さんは同居する息子夫婦のためにケーキを買った。その個数には自分も含まれていた。
 そして帰宅直後に我が母は、「ああ喉が渇いた」と言ってミカンを食べ、一応糖分控えめを謳ったジュースを飲んだ。
 年に何度あるかないかのご馳走を食べた私は、ただコーヒーを飲んだ。

 3キロ太るというのが長らく自分の目標であるのだが、ババ二人に付いていけば叶いそうである。



 

 
 

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isoginchaku

Author:isoginchaku
名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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