初詣


 だれにともなくあけましておめでとうございます。

 あたたかい新年の幕開け。
 なんという感慨もなく大晦日が過ぎ、今年の抱負を考えることもないが、すっきりした青空の元旦というのは、元旦でない同じ陽気の朝とはちょっと気分がちがうような気もする。


 朝8時。
 いつも飲んでいるふつーのティ―バッグで生姜入りの紅茶をぐいぐいと飲んでから、近所の氏神様であろう神社にいわゆる初詣に行った。この季節、セーターやズボンなんかは二日三日続けて着てしまうが、やはり元旦初詣ということで、洗い立てのものを身に付ける。ポケットにお賽銭とハンカチだけ入れて家を出た。


 町は静かだ。車の音がまずしない。
 しかし少し歩くと、駐車場が沢山の車で埋まっている所があると思ったら、チェーン店の珈琲屋だった。元旦モーニング。自分以上に元旦もふつうに過ごす人が多いなあと思ったが、店で珈琲を飲んでいる人の中には、除夜の鐘を突いてきたり、初日の出をどこかで見てきた帰りだったり、遠くの有名神社で初詣を済ませてきた人たちがいるかもしれぬ、と気づく。


 歩いて5分ほどにある神社も、まったく静かで人影見えぬ。と思ったら、紺色ジャンパーを着たおじさんが一人現れた。しかしおじさんは私のような詣で客ではなかった。神社の隅にある焼き場のすすをスコップでごそごそし出した。きっとこれから参拝しにくる人々のためにそこで焼き芋や甘酒をふるまうのかもしれない。
 「おはようございます」とおじさんに言うと、おじさんは「ん!?」というような顔をして、一瞬間が開いた後に小さく「おはようございます」と返してきた。

 手を洗い、神様の前の誰もいない賽銭箱まで進む。
 お賽銭を入れてお辞儀をしようとしたら、賽銭箱の向こうの戸の閉まった神様が祀られている部屋の中でガタガタっと大きな音がした。なんだ!と思ったら、さっきと別のおじさんが、なにやら探し物をしているようだ。おじさんすぐ消えるかと思ったのだが、なかなか消えず。少しの間おじさんに気を取られていたが、いや自分に集中しなくてはと気持ち引締めた。けれどもおじさんに姿がかなり近くに見えるので、結局なんだか非常に中途半端な気持ちでお参りを終えてしまった。 

 
 そのまま少し散歩をする。
 犬を飼う人たちは、いつも通り散歩をしている。
 家を出た時よりまた雲が消えて、青い空が広がっている。

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isoginchaku

Author:isoginchaku
名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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