吹き出物


 唇のすぐ脇に吹き出物ができた。
 こんなところにできるのは、人生2か3度目だ。

 始めは口角炎かビタミン不足かと思っていたが、どうやら吹き出物、余分な脂肪が底に溜まっているのが感じられた。
 日が経つにつれだんだん大きくなっていった。
 脂肪の白さが見えて来た。
 こうなると針でぽちっとやりたくなるものだが、痕になるのも嫌なので、ここは我慢をした。

 直径3ミリほどの赤い粒が直径4ミリの白い粒に変わった。触れると固い。鏡を見ると気色悪いとも言えるが、それでも我慢した。
 自然と小さくなるのを待つことを選んだのに、夜歯を磨いたときに歯ブラシが触れ、皮が割れた。ああ、と言いながらテイッシュで拭くと、白い脂肪と赤い血と黄色い膿のようなものが混じっていた。
 自分は日頃過剰な脂肪分を摂っているつもりはないのだが、何がどうなってこのような吹き出物ができるのだろうか。
 昨夜二度目の引っ掻きをやってしまった。そして今は赤黒のかさぶたになっている。


 高校の時の現国の男の先生を思い出した。
 K先生は中年のたぶん当時40歳くらい。デブとは言わないが肉肉しているというかポッチャリ型かつ尻はけっこう締まっている身体つきで、多めの髪の毛は癖がありおかっぱ(毛先がくるんとしている)、細ぶちの眼鏡をかけた顔も肉肉していて、いつも汗をかいている感じ、特に上唇の上。
 このK先生がある日、若い頃の思い出話をしてくださった。
 「鏡を見てにきびを見つけると、爪で挟んでギュッとやるんです。そうすると、白い脂肪がピュッと飛び出してくるんですね。」
 白い脂肪がいかにも沢山飛び出てきそうなK先生の顔を見ながら、聴いていた私たち生徒は顔をしかめつ笑いつ「うわあ」と言った。

 小学校から大学まで沢山の先生に教わり、無数の授業を受けたが、今でも思い出すことというのは、授業にはなんにも関係のないこんな話ばかりだ。

 k先生は一年間副担任だったが、授業以外の関わりは全くなかった。あの人は今会ったら、ちょっと面白い話を聞けそうな気がする。そういう先生は高校時代に他に2,3人いる。子どもの自分に今の自分の感覚があったらいいのにと思うことである。



 

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isoginchaku

Author:isoginchaku
名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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