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たこ焼き屋アイドル


 たこ焼き屋の前を通ると、ガラス窓の向こうに店員が二人並んで鉄板の中のたこ焼きをひっくり返していた。


 二人は女だった。
 左の人は20代後半から30代前半、眼鏡をかけた右は10代かもしれない。
 二人の背は同じくらいに低かった。
 二人の身体は、同じくらいに丸かった。同じようにしっかり詰まった感じに丸かった。

 20㎝ほど離れて立つ二人はたいへん手際よく、もくもくとたこ焼きをひっくり返していた。お客は一人もいなかった。

 二人の様子を横目で見ながらトイレに入った。

 用を済ませて出てくると、たこ焼き屋の二人はガラスの向こうにいなかった。
 二人はレジの所に並んで立ち、3人ほどのお客さんの相手をしていた。お客さんにも丁寧な感じが伝わってきたが、声までは聞こえなかった。
 二人はやっぱり同じように背が低く、同じように丸かった。


 いいものを見たと思った。
 計1分も見ていないだろうが、楽しませてもらった気分だ。

 当節、ご当地アイドルというのがいる。
 今日見たあの二人は、アイドルになれると思う。
 たこ焼き屋アイドル。
 二人の容姿はゆるキャラに通ずるものがあるから、ひょっとしてひょっとするとブレイクしてしまうのではないだろうか。
 
 とある芸能プロダクションの社長がたこ焼き屋のあるショッピングモールのイベントに来た。彼の会社は正直風前の灯といった経営状態で、今日も社長自らがカバの着ぐるみを着てイベントを盛り上げるという学生アルバイトのやるような仕事をするために来たのだった。
 午前の部を終え、着替えた社長は遅めの昼飯を買いにテナントの飲食店が立ち並ぶフードエリアにやってくる。還暦にあと数年という社長は疲れている。腹は空いているのに何を食べようか食べたいのか決まらない。無いものはないというほどに様々な食べ物が並んでいるのに、社長の眼には入ってこない。
 たこ焼き屋の前でふと足を止める社長。
 社長はたこ焼きが好きだ。けれども彼の足を止めたのは、ガラスの向こうでもくもくと細い金棒を両手に持って、たこ焼きをひっくり返し続けている二人の女性店員だった。二人とも背が低く、丸いたこ焼き屋の店員。

 他に客がいなかったので、社長はたこ焼きを買いがてら(二人が焼いていたので二箱買った)二人をスカウトする。
 社長の熱心さにほだされ、二人はバイト終了時に社長と話をし、たこ焼き屋は辞めないという条件で契約を結ぶ。
 二人はたこ焼き屋アイドルとしてデビュー。自分も背が低くて丸かった社長は、始め自分も仲間に入り3人グループで売り出そうとするが、年上のたこ焼き屋店員が「それではブレイクしない」と冷静に判断。無事、生粋のたこ焼き屋店員の二人グループとして世に出たのだった。
 そして・・・


 というようなことがないものかなあ。




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Author:isoginchaku
名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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