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死神 生命

 二人の死神に遭遇しました。


 一人は男で、朝の散歩時でした。

 死神は車通りの少ない車道のほぼ真ん中をゆっくりふらつくように歩いていました。背後から太陽の光を浴びていたので、始め、顔など様子ははっきりしませんでした。
 死神の後ろから来た車は、クラクションを鳴らすことなく、死神を避けるようにカーブを描いて走りました。けっこう大きなカーブでした。 

 私は死神とは反対側の、道の端を歩いていました。死神に向かって歩いていきました。

 3,4メートルの距離に近づきました。顔はまだよくわからないものの、死神がこちらにはっきり顔を向けて私を見ているのはわかりました。
 
 そうしてもうすれ違うよという時、死神はしっかり私をその目でとらえて、力強くはないがわりとはっきりした声で「おはよう」と言いました。
 私はその時点で、これは死神だと分かったわけです。

 死神は、真っ白い顔をした干からびたようなお爺さんでした。まったくほんとに血の気のない白い顔でした。眼球の白目は青いようでした。着ているジャージは上下白っぽい灰色でした。本当はもっと濃い灰色だったのが、死神さんが着ることによってだんだんと白っぽくなったのではないか、と思えました。袖口から出ている手も、正しく白く、干からびていました。

 「おはようございます」私は、至って普通の声で言いました。死神さん、とちいさい声で言いました。


 少し行った所で私は、振り返りました。
 死神さんは変わらぬ調子でふらふらと、車道のほぼ真ん中をゆっくり歩いていました。私の方を振り返って見ることはありませんでした。でも死神さんなので、私が見つめていることはわかっていらっしゃるのではないか。そう思いました。



 もう一人は女の死神でした。こちらは昼近く、歩いて買い物に行った帰り、公園の入り口。今度もまた4すれ違うかたちです。

 最初に言ってしまいます。この死神は、お婆さんです。
 こちらの死神は白くなく、土気色の肌でした。日差しが強かったからか、帽子を被っていて、それは死神としてどうかとも思いますが、しかし同時に、お婆さんを死神とさせる小道具として、その色褪せた細かな花柄の、というか花柄だったというような帽子は効果的に働いているようにも思えました。朝見た爺さん死神ほどにはまだ、立派な死神ではないのかもしれない。けれどもそのお婆さんから発せられている気は、あたしは死神だよ、と私にしっかり伝えてきました。

 婆さん死神は、横目でチラとこちらを見ました。それだけでした。だから私も、チラと死神を見ただけでした。
 その時、辺りにも何も物音が無く、まったく静かに死神と私はすれ違いました。


 二人の死神に、しかも男と女の死神に今日は会ったな、歩きながら思いました。
 ふと、自分の腕が目に入りました。これはあるいは、自分も・・・

 ある人は、私を見て、やや若い死神だと気づくかもしれません。


 。。  。。  。。  。。  。。  。。  。。  。。


 一方、今日は命を感じる日でした。

 まず、再び朝です。

 白髪の小父お爺さん(おじさんとおじいさんの中間くらい)が、自転車に乗って行くのを見ました。
 小父お爺さんは、頭は真っ白でしたが(真っ白と言えるくらいに髪の量はありました)、デニム生地の短パンを履いて、足元はビーチサンダル。乗っている黒い自転車は車輪が大きめで細いロード用らしいもの。
 しかし兎に角私の視線が直線的に向かったのは、小父お爺さんの太ももです。デニムの短パンから伸び出しているその足は浅黒く、筋張り締まっており、頼りがいのある太さも申し分ない。
 その太ももでこがれる自転車は、「サーッ、サーッ”!」と言って、かけて行きました。まさに”颯爽”という言葉がぴったり。
 
 私は、生命を感じました。


 それから配達に行く途中で、小学校の校庭から声援が聞こえました。運動会をやっていたのです。
 聞こえてきた集団の声は、声援というより絶叫というのがふさわしいものでした。リレーか何か、熱狂する花型の種目が行われていたのかもしれません。それを聞いたときも、「生命だ」と思いました。


 家に帰って、爪を切りました。わたしは生きているな、と思いました。

 寝っころがって、風に膨らむカーテンを見てまた、生きているんだなと思いました。


 いのちを感じるのは、死神との遭遇効果かもしれません。






 
 

 
 





 

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名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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