すずめとおじさん

 『ハトにえさをやらないでください』という看板があるところで、朝、一人のおじさんが、川の鯉にえさをやっていました。

 鯉ならば問題ない。

 おじさんが放っているえさは、軽いせんべいのようでした。おじさんは無言で放っていました。


 そこへ上空から雀が一羽やってきました。おじさんから一メートル弱ほど離れたアスファルトに着地。
 
 おじさんは下方の川を見下ろしていたようでしたが、ちゃんと雀に気が付きました。おじさんはせんべいを割って、雀の方へ放りました。ややおじさんよりの地点にせんべいのかけらは落ちました。

 すずめは、「チッ!!」という結構大きな声を上げながらぴょんと飛んで、せんべいを素早くつまんで飛び立っていきました。あの「チッ!」は、「ヤッタ!」もしくは「アリガト!」それとも「ヤッホウ!」。

 鯉には無言でせんべいを放っていたおじさんも、「おおう」という声を出しました。呑気で明るめな声でした。

 このような雀がいたら、ペット要らないかな。



 ペット雀は、雀だからよろしい。

 これが鳩では、そううまい具合にはいかないでしょう。
 
 いつか、駅のプラットフォームで電車待ちをしながらおにぎりを食べていたときのことを思い出します。
 味付けした大豆を混ぜ込んだおにぎりでした。

 そこへ一羽の鳩が舞い降りてきました。私の足元かなり近い所です。もうここから、鳩は雀よりずうずうしい。私なんか初対面なのに、何かしらもらえると思っている。

 まあそうは思いながらも私もヒマだったし、「巡り会わせ」なんてことは思わないまでも、大豆を放ってあげました。
 鳩はもう素早く飲みこんだ。
 そうして、飛び立っていかない。雀なら飛び立つのに。一歩ゆずって飛び立たなくてもいいから、「フォロッホウ~」というのを一声聞かせてくれてもいいだろうに。黙ったままいつまでもその辺りをウロウロしているのです。

 「まだ欲しいのか」と言いながらも、私はもう一粒、あげました。と思ったら、空から別の鳩がいきなり降りてきて、私が放った豆を横からバクついたのです。横取りしたそいつは、先ほどのよりだいぶデカくてまるまるしていました。
  もう一粒、私は一番鳩に向かって放りました。
 「アッ!!」
 2番手のデカ鳩が、一番をくちばしで突っついて追い払い、豆を飲みこみました。
 「おい!!」私は声をあげました。電車待ちは他に誰もおらず、自由に声が出せたのです。

 いつの間にか他にも2,3羽の鳩たちがその辺りをウロウロウロウロしていました。ですが、2番のデカ鳩はとにかく皆より一回り二回り大きく、威張っており、私が豆を放らない間にも、周りの鳩たちを突いて威嚇し始めました。
 私は食べかけのおにぎりをしまい、荷物をかついでその場を去りました。


 と、こういうように、鳩は凶暴性が強い。凶暴でないやつでも、あのウロウロはあまり可愛げがあるとは言えない。「チッ!」と言って飛び立たないし。



 のんびりした鳩の鳴き声はけっこう好きですが、近づきになるならやっぱり雀です。
 舌きり雀の話もあるくらいだから、雀は昔から親しみのある鳥類だとみてよい。


 せんべいを放っていたおじさんは、鳩にも放ってあげるのかな。
 あ。「鳩にえさをやらないで」って看板・・・
 雀はよくて鳩はダメ。
 やっぱり鳩はだめなのですね。



  



コメント

コイのいる川沿いをジョギング中、ヌートリアに遭遇しましたよ!

イタチも何度か見かけました。
エサは何を食べているのでしょうか? コイの稚魚?おじさんは食物連鎖に関わっているのでしょうか?

  • 2015-03-31 10:04
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isoginchaku

Author:isoginchaku
名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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