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珍味の話


 
ごくらくちんみごくらくちんみ
(2004/09/29)
杉浦 日向子

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 食べ物のことが書いてある本はやっぱり好きで、著者の杉浦日向子さんの文章もさっぱりしていていいので借りた。


 杉浦さんのことを知ったのは、NHKテレビで昔江戸の町民の生活なんかを面白芝居仕立てでやっている番組だった。

 そこで解説者みたいな感じで出ていたのだが、まずそのお顔を見て、やんわりした気のいい妖怪みたいだな、と思ったものだった。解説は分かりやすくていい感じだとおもった。

 本も何冊も出されていると知ったのは、けっこう最近のことだ。


 この本には様々な珍味の話が載っている。
 
 一つの珍味の話がだいたい800字くらいで書かれている。短い文章で、それが酒肴、男女の話になっているので軽く読めてしまう。
 ワタシはお酒のことはあまり知らないし、呑むほうでもないが、肴である珍味の話とともに、酒についての描写もとても興味をそそられながら読んでいる。


 からすみ、さなぎ、また旅、草や、にがうるか、ばくらい・・・・

 食べたことがある珍味、名前と噂だけ聞いたことのある珍味、まったく知らなかった珍味。いろいろ。

 「とうふよう」なんかは、たしか高校生くらいのときに口にしたことがある。母の友人の沖縄土産だった。

 赤くてどろどろした見た目は、食べたい気持ちをあまりそそられるものではなかったが、「これは高級なものだよ。簡単に食べれんよ」と母に言われて、ちょっとだけつまんでみた。

 「ぐわっ」と、ワタシは入ったような気がする。味や風味の詳細はじつのところ思えていないのだが、とにかくこれは子どもの食べるものではないということだけは分かった。二度食べたいとは思わなかった。

 「とうふよう」 陰干しした沖縄豆腐を、泡盛と紅麹の汁に数ヶ月漬けて熟成させる。チーズと練りウニの風味。

 ・・・と、この本に説明がある。あの固い母が、高校生のワタシに、よく食べさせてくれたと思う。

 このとうふようを女性が酒と一緒につまむ時の描写。

 アイコは、つまようじでサイコロの角を飯粒大に削って口へ含んだ。舌を太らせると、上顎へ、ぬっとなめらかに溶けてやわらかく消えてゆく。その余韻が、口中にひろがるところへ、カシャカシャとグラスをゆすって、ロックの泡盛を流しこむ。味らいの溝に、わずかにのこっていたクリームが、一気に浮き上がって渾然となり、上等な酒に早変わりして喉をすべりおちていく。

 とうふようの魅力を知っていなくても、泡盛を飲んだ事がなくても、その感じを酔ったように想像してしまう。

 書き方も上手だなあと思うし、杉浦さんは生前お酒を愉しんでいたんだなあと思う。


 暑い夏の夜にも、楽しく読める本だ。

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isoginchaku

Author:isoginchaku
名古屋市緑区在住。たった一人の弁当屋。
只今休業中。

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