朝 起きると水を少し飲んでから、熱い紅茶を淹れる。
そこにすりおろした生姜をたっぷり目に入れて、飲む。
りんごを剥いて、半個食べる。
そして歩きにでる前に,ママレードを一匙なめて、家を出る。

キュとした酸味とちょっとした苦味、ほんのりした甘さがよりいっそう、目を覚ましてくれる感じがする。
普段はジャムなど食べないが、とにかく作ったママレードが沢山あるし、はちみつ漬けにした柚子もあるので、毎日毎朝なめたり食べたりしている。
柚子や生姜は身体を温めるので、この時期は特によいだろう。
そして、寒い季節にどうしても飲んでしまうのが、コーヒー牛乳だ。

牛乳にインスタントコーヒーを適量入れて、チン!しただけのもの。
砂糖は入れないので、糖分の摂り過ぎを気にしているのではない。ワタシが取り過ぎなのは乳製品。そして、コーヒーもなるべくやめようと思ってはいるのだが、どうしても止められない、今のトコロ。
ストレートのコーヒーでなく、”ホットコーヒー牛乳”になると、大人としての苦味の欲求とオンナコドモとしての甘さとコクの欲求が同時に満たされてしまう。『ホットコーヒー牛乳は一日1杯」となんとなく決めてはいるが、そのルールはあっさり破られてしまうことが多い。
リサイクルショップで買ったミスタードーナッツの小ぶりなマグカップを使っていることが、せめてもの救い。
このホットコーヒー牛乳を飲むと思い出されることがある。
小学生のとき通っていたそろばん塾。そこは老年に差し掛かるくらいの夫婦が先生だったのだが、ギョロ目長身大声で恐ろしい雰囲気の男先生が、冬になると毎日、色白でやさしい女先生に淹れてもらったあったかいコーヒー牛乳を飲むのだった。
わたしたち子どもらがパチパチパチパチ、一生懸命問題に取り組んでいる。おもむろに女先生が大ぶりの茶色いマグカップを運んでくる。すると、あまーいホットコーヒー牛乳の香りがやさしく漂ってくるのだった。その教室はけっこう大きな教室だったが、一番後ろの席までしっかり香った。
あの香りは、ホットコーヒー牛乳でなく”カフェ・オ・レ”というものだったろう。もうそれはなんともよい香りで、学校帰りで腹もすき始めているわたしたちの鼻を、意地悪なほどにくすぐった。
わたしも含め、子どもたちは皆あの”カフェ・オ・レ”を一口でいいから飲んでみたいと思ったものだ。
しかし、飲んでいるのは恐ろしげな男先生であったので、「先生いいなあ」とか「一人で飲んでずるい」などと軽口をたたくことすら出来なかった。
そういえば、何年か前の正月に、初詣に行った帰り道、その男先生らしき人を見かけた。
そろばん塾はもうやっていない様子だったが、自宅も兼ねたその家に入っていったから、男先生だったに違いない。
強面だった面影は残っていたが、長身だった姿はとても小さく痩せていた。
静かなクラシックなんか聴きながら書いているから、こんなことまで思い出したのだろうか。